東京という街は、人も車も建物も異常な量で回っている。
当然、街が吐き出す二酸化炭素や有毒ガス、その他諸々も相当な量になる。
「キレイな空気」とは程遠い街。
しかし、ある時に知り合った大阪の方に言われたことがある。
「東京はこれだけ人も車も多いのに、大阪よりも空気が綺麗で驚く」と。
都会の空気など「綺麗ではない前提」で生きてきたので、東京と大阪の空気を比較したことなどなかったが、確かにそうかもしれない。
そして、この方はこう続けた。
「大阪には緑がない。東京は本当に緑が多い。緑の多さにも驚く」
緑と言われて安易に公園などを思い浮かべてしまい「??」となってしまった。
確かに皇居や上野公園、目黒川など桜の名所と言われるような場所は多くある。
しかし、大阪に比べて多いというレベルかと言われれば、そんなイメージはない。
「そうですか?そんな事ないと思うんですが。。」と返すと、
「いや、東京の道路には必ず木が植えてあります。これが大きな違いです。」
なるほど。
人は毎日当たり前に目にしている物には本当に盲目なのだと気付かされた。
確かに東京には本当にたくさんの『街路樹』が植えられている。
よく見れば、街路樹のない道路を探す方が大変かもしれない。
都市部における緑化の効果については私が語る事ではないが、環境や防災などの効果は非常に大きい。加えて、精神衛生上の効果も計り知れないだろう。
東京という近代文明が産んだ「バケモノの子」が日々吐き出す毒を、アスファルトの隙間に植えられた『ミドリたち』が浄化してくれているのだ。
今思えば私が育ったエリアの周辺も、たくさんのミドリがあった。
東京大学医科研究所(通称:医科研)、国立科学博物館附属自然教育園、八芳園、白金台幼稚園近隣の公園。
小学生の頃のホームグラウンドだった懐かしの猿町公園。
足を伸ばせば、有栖川公園や青山霊園など。
私も幼少の頃は、椎の実を食べたくてドングリを拾って帰ってしまい、親に「これは食べられないよ」と図鑑を見せられて椎の実とドングリの微妙な形状の差を頭に叩き込んだ記憶がある。
都会のド真ん中でもそんな体験は出来るのだ。
コンクリートジャングルなどという言葉は、ただのカッコ付けである。
東京都という単位で考えると、奥多摩エリアや伊豆諸島、小笠原諸島も立派な東京都なので、都市部ばかりという訳ではないのでだが、実は東京都にある緑の殆どは、農林業などの2次的な自然と街づくりで新たに造られた人工的な自然であるということらしい。
ふと興味が湧いたので、東京都環境局のサイトを見てみた。
(https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/basic/plan/nature/index.html )
そこには、自然環境を守るべく様々な計画がなされている事実や過去のエビデンスなどが掲載されているのだが、やはり「緑は減少している」と記されている。
いくつかの計画書に記載されているデータを見てみると、昭和49年と平成10年の「みどり率」の比較がされており、23区エリア・北多摩・南多摩・西多摩のデータが出ているが、明らかにみどり率が下がっているのは多摩エリアであり23区エリアは、確かに下がってはいるが大きな差ではない。
東京西部エリアの開発の影響なのだろうか。
都市部の緑が維持されているのは、しっかりと管理された都市計画の現れということだろう。
屋上庭園という言葉もよく耳にするが、ビルの屋上の緑は環境保全になっても街ゆく人の目につくことは少ない。
やはり街路樹の価値はとても高いように感じる。
大切にしなければいけない。
歩道の植え込みにゴミを捨てる輩などは論外である。
東京のミドリ。
改めて考えると、本当に奥が深い。
私に気付くキッカケを与えてくれた大阪の知人に感謝したい。
「灯台下暗し、我が街にミドリあり」である。
今日はここまで。
最後まで読んで頂いた貴方に、心から感謝を。
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